滋賀県

日本がん・生殖学会のホームページでもご覧いただけます。


滋賀県の活動

2015年の活動

 2015年(平成27年)7月7日に滋賀がん・生殖医療ネットワークが立ち上がりました。七夕の日、あるいは、777の日と縁起を担いでの出発でした。
 滋賀がん・生殖医療ネットワークの特徴は、がん治療者、がん患者さんにがん・生殖医療に関わる一般的な情報と滋賀県内の施設情報を効率的に広めることを目的としたネットワークです。
 呼びかけ施設である滋賀医科大学が、妊孕性温存支援科(がん治療施設の主に産婦人科、泌尿器科)にお手伝いをいただいて、がん・生殖医療に関わる情報、滋賀県内の妊孕性治療可能施設などの情報を滋賀県内のがん治療者、がん患者さんに広げようというシステムです。 滋賀がん・生殖医療ネットワークでは、独自に説明用動画、説明用リーフレット、患者自己診断ツールを作成し、インターネット上で配信しています。

 図1のようにインターネット、がん妊孕支援科の医師から直接、あるいは、がん妊孕支援科が院内で啓発活動を行い、間接的に医療者と患者さんに情報を届けるようになっています。

※図1 クリックで大きな画像が表示されます。

詳細は図2にあるように滋賀医科大学産婦人科のホームページのがん生殖医療ネットワークをご覧ください。また、動画などの資料は自由にダウンロードできます。ご利用ください。

※図2 クリックで大きな画像が表示されます。
2016年度の活動

 滋賀がん・生殖医療ネットワークでは、本事業推進のために2016年度から滋賀県より委託事業を受けることとなりました。がん患者の妊孕性温存のための普及啓発事業として、①がん治療医療機関従事者向け事業として、がん治療医療機関からの相談に対応する目的で滋賀医科大学産婦人科講座内に相談窓口を設置していただきました。また、②がん治療医療機関(がん診療連携拠点病院、がん診療連携支援病院、地域がん臨床病院)の合計13病院で同じ内容のがん・生殖医療における研修会を実施させていただき、滋賀県内の啓発を行うことができました。合計938名の医療者に参加いただき、その内容について98%医療者の医療者が満足いただいているとのアンケート結果でした。
 また、滋賀県では2016年度から日本全国で初めてがん患者さんのみをターゲットとして卵子、卵巣組織、精子凍結に関して、医療費助成を開始しました。詳細につきましては、 http://www.pref.shiga.lg.jp/e/kenko-t/gan/ninyousei.html の滋賀県のホームページをご覧ください。この施行に際し、滋賀がん・生殖医療ネットワークは深く関わらしていただくことができました。
 情報配信を目的とした滋賀がん・生殖医療ネットワークでしたが、滋賀県とともにより深く強くがん・生殖医療について啓発でき、患者さんのために政策についても意見させていただけるまでに進化を遂げてきております。



JSFP がん・生殖医療連携会議およびOncofertility Consortium JAPAN 2016 準備会議〈2016年7月30日〜31日〉

※クリックで演題がご覧いただけます。
『滋賀県でのがん・生殖医療連携の現状』滋賀医科大学 木村 文則先生

滋賀医科大学におけるがんや自己免疫疾患などの患者さんに対する妊孕性温存の取り組み

木村文則

 滋賀医科大学では、がんや自己免疫疾患などの患者さんに対する妊孕性温存のために卵巣凍結保存および未受精卵凍結を2013年1月より行っています。滋賀医科大学の特徴として小児期の卵巣凍結保存も倫理委員会により承認されていることです。すでに2015年2月末までに5名の小児の卵巣凍結を行っています。また、国立大学附属病院ですが、年間300件程度の体外受精の採卵があることからその技術力をいかし、未熟未受精卵の体外培養および成熟未受精卵の凍結保存も行っています。これらの技術を駆使して患者さんにできるだけ多くの妊娠する機会を温存したいと考えています。

 2015年の2月11日には、平成26年度滋賀県がんと向き合う週間企画 がん治療と生殖医療 -滋賀県にがん・生殖医療ネットワークを!― を医療関係者を対象として開催しました。この際には、滋賀医科大学化学療法部の目方先生、河合先生が精力的に会の運営を行ってくださいました。がん患者さんの妊孕性の温存についての会をがん治療を行っているサイドの医療者が中心になって催したのは全国でも珍しいと思います。おそらく初めてではないでしょうか。会では各科からの妊孕性に関わる話題を発表していただいた後、岐阜大学の古井先生からネットワークの立ち上げにつきご講演いただきました。ネットワークを構築する際のご苦労や現在の運営状況など丁寧にご講演いただきました。さらに関係者によるパネルディスカッションを行い活発な議論が展開されました。100人を超える参加者があり非常に熱気に包まれました。現在、滋賀県にネットワークを構築中ですが、医療関係者に妊孕性を温存する技術の発展につき啓蒙していくことの大切さと患者の紹介の速やかな流れの必要性が再認識され非常に有意義な会でした。

 2015年4月1日より滋賀医科大学女性診療科にがん妊孕外来を設置することとしました。毎週月曜日から金曜日の9時から12時とし随時紹介患者さんを受け入れ、診療を行いやすい状況としました。このような取り組みは、国立大学病院としては初めてでありどのような状況となっていくか皆様に見守って頂きたいと考えています。

※クリックで大きな画像が表示されます。