厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業 総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究
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Oncofertility Consortium JAPAN meeting 2016


地域完結医療連携モデルの全国展開およびがん・生殖医療における
心理支援体制の構築(2016年12月11日)

日 時:2016年12月11日(日) 11:45〜17:30
場 所:横浜情報文化センター


研修会の内容:

平成28年12月11日(日)に神奈川県横浜市の横浜情報文化センター6階の情文ホール にて「厚生労働省科学研究(がん対策研究)推進事業:Oncofertility Consortium JAPAN meeting 2016−地域完結医療連携モデルの全国展開およびがん・生殖医療における心理支援体制の構築」が開催されました。本会は、堀部班(厚生労働科学研究 がん対策推進総合研究事業:「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」、研究代表者:国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター長 堀部敬三先生)のJSFP(NPO法人日本がん・生殖医療学会)チーム(生殖小班:代表 岐阜大学医学部産婦人科 古井辰郎准教授)が主催となります。堀部班生殖小班のミッションはAYA世代の妊孕性温存に関わるがん・生殖の医療連携体制のあり方を検討することであり、「AYA世代がん患者さんの妊孕性温存が各地域で完結することができる「がんと生殖に関する医療連携ネットワーク」の構築を最終目標としています。本研修会の内容は以下の如くとなります。演題1〜4までは、本邦におけるがん・生殖医療の医療連携システムに関する現状に関する講演が行われました。また演題5では、がん・生殖医療連携ネットワーク構築の先駆者であるOncofertility Consortium代表のTeresa Woodruff先生(米国シカゴ、ノースウェスタン大学)をお招きし、世界初のシステム構築に関する情報を提供して頂きました。演題6、7、9では職種間のがん・生殖医療に関する医療連携の講演を行い、演題8では現在日本癌治療学会で作成中の若年がん患者に対する妊孕性温存診療ガイドラインに関する講演が行われました。なお、Teresa Woodruff先生には、演題7終了後に指定発言を頂き、最後に本Meeting全体に対する講評を頂きました。


研修会の成果:

本研修会は、(1)本邦におけるがん・生殖医療の医療連携システムに関する現状に関する講演、(2)職種間のがん・生殖医療に関する医療連携の現状に関する講演に大別されます。 前半の(1)では、本邦におけるがん・生殖医療の医療連携システムに関する現状に関する問題点を共有することができました。本邦におけるがん・生殖医療連携ネットワークは以下の3つの型に分けることができます;(学会型)がん治療者個人に呼びかけ、あたかも学会のように構成員をつくり、そこに生殖医療施設が加わりネットワークを構築しているタイプ。(組織‐組織型)がん治療施設の患者相談センターなどに患者相談窓口を設け、そのがん治療施設と生殖医療施設が、ネットワークを作成しているタイプ。(情報提供型)がん生殖医療施設、その診療内容、がん生殖医療に関する情報を患者およびがん治療施設に提供することを目的としたタイプ。各地域で完結できる医療連携ネットワークの構築が理想となりますが、一方埼玉や大都市などでは地域ごとの簡潔が難しいケースも想定されます。また、ネットワークに患者の流れを拘束するシステムは無く、そのため患者の実態につき把握しにくい欠点があります。国内の現状は、2016年7月末で稼働中12地域、準備・検討中が8地域であり、稼働中の地域の中でも、その形態や稼働状況には大きな差が認められました。今後、これらの点を改善していく課題があります。なお、米国のOncofertility Consortiumにおけるがん・生殖医療ナビゲータは、がん患者やがん治療医が最初にコンタクトをとる専門職として機能していますが、本邦のがん・生殖医療ナビゲータは誰が行うのか?どの様に教育を行うのか?など、課題が浮き彫りになりました。


後半の(2)では、看護師、臨床心理士、小児科における職種間連携の現状と問題点に関して議論が展開されました。本邦のがん・生殖医療ナビゲータとしての看護師の役割に関して、その可能性が議論された。また、O!PEACE試験の途中結果からも、がんと診断され、妊孕性温存治療が行われ、さらにがん治療開始前後まで、長期にわたる臨床心理士の関わりの重要性が浮き彫りになりました。一方、小児領域におけるがん・生殖医療に関する医療連携不足ならびに若年がんとの違いに関してその問題点が共有されました。三善先生より、小児がん患者における様々な問題点に対応するためには医師間および多職種間の連携が必要である事が強調され、以下の問題点が挙げられました;①小児がんの種類と治療の多様性、②肉体的・精神的・社会的に未熟な小児患者、③患者本人に対する病状や晩期合併症の説明の有無と理解度、④がんの治療と晩期合併症の時間的隔たり、⑤長期フォローアップ外来からの脱落、⑥成人診療科へのトランジション、⑦将来の妊孕性や妊娠・出産における問題、⑧。診療科間の連携と情報共有の必要性、など。最後のTeresa Woodruff先生からの講評から、本邦でも徐々に浸透しつつあるがん・生殖医療が、正しい方向に向かいつつあることが理解されました。本邦発のガイドラインが作成されている事、特色のある臨床試験が進められている事、何よりも本研修会に多くの職種が参加していた事などが、日本の特色に対して高い評価を頂くことができました。また、20年後(2036年)の本領域の進むべき指針も、講評に追加して報告されました。


以上、「厚生労働省科学研究(がん対策研究)推進事業:Oncofertility Consortium JAPAN meeting 2016−地域完結医療連携モデルの全国展開およびがん・生殖医療における心理支援体制の構築」に関する研修会の成果として、今後のさらなる本領域の発展に向けた方向性が明らかになりました。何よりも、がん・生殖医療連携を患者に円滑に提供できるナビゲータの教育の喫緊の課題であります。


以上

鈴木直


下記より抄録集をご覧いただけます。

Oncofertility Consortium JAPAN meeting 2016 抄録集


下記より開催概要をご覧いただけます。

Oncofertility Consortium JAPAN meeting 2016 開催概要



ご挨拶

堀部 敬三(国立病院機構名古屋医療センター小児科)
古井 辰郎(岐阜大学医学部医学系研究科産科婦人科学)



がん・生殖医療に関する本邦の現状

演者: 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学産婦人科学)
座長: 古井 辰郎(岐阜大学医学部医学系研究科産科婦人科学)



日本におけるがん・生殖医療連携の課題と対策案:
総合的AYA世代がん対策(堀部班)の研究から

演者: 古井 辰郎(岐阜大学医学部医学系研究科)
座長: 中塚 幹也(岡山大学大学院保健学研究科)



がん・生殖医療地域ネットワーク構築の実例

演者: 木村 文則(滋賀医科大学産科学婦人科学)
座長: 古井 辰郎(岐阜大学医学部医学系研究科産科婦人科学)



わが国のがん・生殖医療の普及と均てん化に向けてー日本版ナビゲータ制度を考える

演者: 髙井 泰(埼玉医科大学総合医療センター産婦人科)
座長: 杉本 公平(東京慈恵会医科大学産婦人科学)



Oncofertility: From Bench to Beside to Babies

演者: Teresa K. Woodruff. Ph.D(ノースウェスタン大学、米国)
座長: 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学産婦人科学)



職種間連携の現状と問題点に関して(看護領域)

演者: 森 明子(聖路加国際大学ウィメンズヘルス助産学)
座長: 林 直子(聖路加国際大学成人看護学)



職種間連携の現状と問題点に関して(心理領域)

演者: 小泉 智恵(国立成育医療研究センター)
指定発言: Teresa Woodruff (ノースウェスタン大学、米国)
座長: 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学産婦人科学)



がん・生殖医療に関する治療ガイドライン作成に向けて

演者: 大須賀 穣(東京大学医学部女性診療科・女性外科)
座長: 鈴木 直(聖マリアンナ医科大学産婦人科学)



職種間連携の現状と問題点に関して(小児領域)

演者: 三善 陽子(大阪大学大学院医学研究科学小児科学)
座長: 北島 道夫先生(長崎大学医学部産婦人科学)




Oncofertility Consortium JAPAN meeting 2016 準備会議


JSFP がん・生殖医療連携会議およびOncofertility Consortium JAPAN meeting 2016 準備会議〈2016年7月30日〜31日〉

※クリックで演題がご覧いただけます。
『地域完結型がん・生殖医療連携の全国展開について(堀部班での取り組み)』
岐阜大学大学院医学系研究科 産科婦人科学分野 古井辰郎先生