患者ネットワークの取り組み


がんと「妊娠、出産」について知りたいあなたへ

阿南 里恵

 みなさん、こんにちは。日本がん・生殖医療学会患者ネットワーク担当の阿南里恵と申します。私は23歳の誕生日を迎えた直後に子宮頸がんが見つかり、子宮すべてと子宮を支える靭帯、そしてリンパ節を摘出しました。しかし、子どもが産めない身体になってしまうことが怖くて手術入院の直前に家出をしました。家族の励ましで手術を受ける事はできましたが、その後同級生たちが恋愛・結婚・出産のラッシュを迎えるたびに焦りや悲しみを感じ、またそうした悩みを相談できる人を見つけられずに20代を過ごしました。そうした経験からがん・生殖医療に関する悩みや不安を抱えている若い患者さんのサポートや、がん・生殖医療の研究と治療をすすめるため、患者ネットワークの活動に取り組んでまいります。皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

日本がん・生殖医療学会 患者ネットワーク担当
厚生労働省 がん対策推進協議会元委員
阿南 里恵

がんと「妊娠、出産」について知りたいあなたへ

患者ネットワークのサポーターのメンバー紹介

 がん種や年齢、性別、がんによって困ったことや現在取り組んでいるテーマ・専門性が異なるがんサバイバーをサポーターに迎え、患者さんの相談に乗っています。各メンバーの名前はニックネームを使用しています。

すなちゃん、悪性リンパ腫・乳がん

 29歳の時に悪性リンパ腫が見つかり、会社を休職して抗がん剤治療と放射線治療を行い職場復帰する。その後の後遺症などから働き方や生き方に悩む。子どもを諦めることができず不妊治療の長く続ける。39歳の時に乳がんが見つかり、治療しながら働く。現在、経過観察中。夫と愛犬とともに都内で暮らす。最近ハマっているのはパステルアート。好きなことは、料理、旅行、ヨガ。 現在は、キャリアコンサルタントとして就労支援を行なってきた経験から病気になっても自分らしく働く・生きる、を応援している。投稿のテーマは、仕事や働き方に関すること、不妊治療のこと、心のケアや周囲との人間関係など。

おおにし、脳腫瘍

 15と17歳の時に脳腫瘍になって抗がん剤治療と放射線治療を受け、10年以上寛解状態です。 25歳頃に妊孕性があるのかどうか気になり、主治医に相談し検査を受けたところ残念な結果でした。ただ、治療前に同じ検査をしていないので抗がん剤が原因かどうかは断定できません。しばらく落ちこんでしまい男性不妊のメンタルケアをしている病院を探しましたが見つかりませんでした。 その後、旅行中に出会った特別養子縁組の親子から、子供を作るのは一瞬のことだが育てるのは一生のことと伺ってから自分を受け入れられるようになりました。 現在は森林の勉強をする傍ら、関西でピアサポート活動に関わっています。

よこさん、左右乳がん

 37歳、不妊治療中に右乳がんの告知を受ける。 不妊治療は中止となるが、漠然と治療の終わりを意識している時でもあった。 仕事を続けながら、放射線治療、抗がん剤ホルモン剤内服治療を受ける。 再発の不安もあったが仕事を続けながら治療できた事は、仕事に集中する事で乳がんを忘れる事も出来たし、気持ちを強く持つ事も出来たように、今は思う。 52歳で左乳がんの告知を受け仕事を続けながら治療を受け、現在に至る。 不妊治療の経験者として、胚培養士として生殖補助医療に関わった一人として、がんと妊よう性について関わっていきたい。 「がんになっても赤ちゃんを持てるかもしれない」という事が、治療や生きる希望に繋がるように、サバイバーとして寄り添えたらと思っている。 投稿テーマは、不妊治療、妊よう性温存など。 夫と二人暮らし、京都在住。 気分転換は劇団四季のミュージカル観劇、リハビリヨガに興味あり。

グリーン、乳がん

 一児の母 静岡県在住 薬剤師 乳がんヨガ講師。 35歳で、授乳期乳がん。2人目の可能性を残したく、抗がん剤治療前に妊孕性温存(5個の胚(受精卵)凍結)。術後4年、胚移植開始前に、就労と不妊治療の両立困難と判断、退職。転職活動では不妊治療のことを正直に伝えたところには撃沈、両立の壁の厚さを感じた。現在、妊娠に至らず胚移植終了、ぼんやりやめどきについて考え中。結果が実を結ばなくても、可能性を残せたことは確かに当時の生きる力につながっていた。いのちの尊さや可能性を感じることができたことに感謝している。現在の関心は「妊孕性」から早めに訪れるであろう「更年期」へ移りつつある。『更年期は幸念期♡』として豊かな人生にしたいと思う。サポーターとして、がん治療と子どもを持ちたい思いのはざまで悩まれる方を応援したい。

患者ネットワークとは

 現在、日本ではがん患者のQOL(生活の質)向上や治療中の緩和ケアなど、様々な場面で患者目線の医療が実施されつつあります。しかし、がん治療による生殖機能への影響はあまり重視されておらず、若い患者が精神心理的・身体的に必要な治療及びケアを受けられていないケースが発生しています。そこで日本がん・生殖医療学会は下記の活動理念のもと、がん・生殖医療に関わるあらゆる医療従事者(以下ヘルスケアプロバイダー)と患者や患者家族が連携する「患者ネットワーク」を構築いたします。

<Our Mission>

 患者ネットワークのミッション(使命)は、がん患者が希望をもって治療に臨むことができるよう、必要なタイミングでがん・生殖医療に関する科学的根拠に基づく情報を提供すると同時に精神的なサポートを実施することです。

<Our Vision>

 患者ネットワークのヴィジョン(夢)は、がん・生殖医療に関わるヘルスケアプロバイダーと患者や家族が連携し、日本のがん医療を変え、若い人ががんになっても生きがいのある社会を実現することです。

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お問い合わせ窓口

E-mail:patient@j-sfp.org